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北方三国志を読む

北方健三さんの三国志を古本で買い込み、ゴリゴリと読んでいました。9巻から11巻までがないのですが、とりあえず13巻まで読んでしまいます。

三国志はまたはちさんもたいていの人と同じように三国志演義の和訳から入り、横山三国志や吉川三国志も読んでいます。陳舜臣さんの秘本三国志は何度読み直したことか……。もちろん蒼天航路も大好きです。

演義や横山三国志は劉備が主役ですが、やはりあの時代の英傑といえば曹操が圧倒的です。秘本や蒼天航路は曹操がメインとなる作品ですが、実際冷静に見ると三国志は宦官の孫ということで低く見られていた曹操がその凄まじい能力で中国を統一していく物語です。孫権は地方豪族のでかい奴で、劉備に至っては寄生と裏切りを繰り返した男ですね。それでも諦めずに強大な曹操に立ち向かっていったのはさすがですし、相当な人物でもあったのでしょう。
曹操は偉大な政治家であり、軍人としても超一流。当代第一の詩人であり技術者であり学者であり……本当に「何でも出来て何でもやってしまう」天才中の天才という、とんでもない人物です。配下も綺羅星のごとくであり、普通に考えればこんな存在に逆らう方が馬鹿げています。劉備はその配下にはいることもそのなかで頭角を現すことも出来た人物のハズですが、それでも曹操と戦い続けました。その理由は今となってはわかりませんが、そうできただけでも一流の人物であったことは間違いないでしょう。

北方三国志は誰が主役というわけではなく、群像劇として構成されていると思います。やや曹操が目立ちますがこれは彼の立ち位置が三国志の中心なので当然でしょう。

特徴はやはり登場人物が「格好いい」こと。ハードボイルド作家らしく、自分の意地を貫き通す人物がたくさん出てきます。たいていは猪武者で人情など知らない暴虐な武将として登場する呂布も、北方三国志ではなかなかの好漢ですし、短慮な乱暴者として書かれることの多い張飛も、実際には陰険で凶暴なところもある劉備を「徳の将軍」として印象づけるためにあえて嫌われる役を引き受ける男として登場します。演義では悪役、無能者として書かれることの多い人物もたいていは欠点はあるもののそれなりに優秀で夢と意地を持つ人間として書いています。

確かに戦乱の時代に名が残るほどの人物であれば単なる無能者はあまりいなかったでしょう。無能であればすぐに殺される時代です。それに初期はともかく、曹操や孫権、劉備の配下に無能で怠惰な人間が残れるとは思えません。

史実とされる事とは違う展開もありますが、これは物語として面白くするためにあえてそうなっているのだと思います。史実が知りたければ陳寿の三国志の和訳を読んでいればいいのであって、小説は違いますから。

とにかく三国志が好きならいろいろな三国志を読んでいるといいと思います。

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