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女王陛下のユリシーズ号 読みました

凄かった……!

海洋軍事小説の傑作、マクリーンの『女王陛下のユリシーズ号』を読了しました。読み応えはたいしたもので、時間的にも五時間近くかかりました。
冬の北極海、襲いかかるUボートと攻撃機の群れをかいくぐりソ連へと戦闘物資を輸送する船団を護衛する戦闘艦隊。その旗艦こそが幸運艦として知られ、優秀なレーダーと砲を持ち、極めて有能な艦長を初めとする士官、そして勇敢な水兵達を載せたユリシーズ。

しかし恐ろしいUボート、次々に襲いかかる優秀かつ大胆なドイツ軍攻撃機隊、そしてそんなものよりも遙かに、遙かに恐ろしい海が彼らを脅かします。

波は艦首で砕けて甲板に落ちる前に凍り、甲板には五百トンの氷が付着して船を分解しようときしみ、肌を五分露出させれば凍傷で腐り、三枚の手袋を付けてもまるでなにも付けていないのと同じように零下30度の風が風速30mで吹くという極寒の地獄です。

勤務は二十時間連続。残りの四時間は絶え間なく揺れる船の中、零下の空気にさらされながら眠ろうと努力しなくてはならず、しかし少しでも敵の影が見えれば総員起こし。食事は一日に数切れのコンビーフサンドイッチだけ。たとえ物資があっても作る人手がないのです。

海に落ちれば絶対に助からないのでもし攻撃で舟が沈んでも僚船は助けには来ません。魚雷を喰らえば即死するほうが幸せで、もしそこで死ねなければ氷の海に落ちて心臓が止まるまでもがくか、油にまみれて焼け死ぬか……。なんの希望もない、まさに極限の状況で彼らは戦います。

名将ジャイルズ少将に率いられた彼らはしかし有名がゆえにその戦術を知られすぎ、作戦を読み切った敵に翻弄され、次々に脱落していきます。四隻いた空母はUボートに、大波に次々と難破していき、小艦艇も嵐の中で砕け傷ついていきます。わずかに残った艦隊にドイツの誇るUボートとルフトヴァッフェが襲いかかり、噂に違わぬ凄腕を見せつけます。

攻撃を受け、あるいは故障して速度が落ちれば置いて行かれます。艦隊から脱落すればオオカミに容赦なく狩られるのは野生の動物の群れと同じこと。そうなることがわかっていながら友人を置いて行かなくてはならず、助けることも助けを求めることもできないのです。

そしてユリシーズにもついに危機が訪れます……。

というわけでこれは読みましょう。漢達の凄まじくも見事な生き様、死に様の物語です。またはちさんは艦長や副長、少佐も好きですが、やはり水兵ラルストンが一番カッコイイと思いました。

次はナヴァロンの要塞を読むつもりです。

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