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七姫物語を読んでいます

東和と呼ばれる大陸の一地方。ここでは七つの都市を中心としたゆるやかな統治が行われています。それぞれの都市には巫女姫という象徴的存在がいて、彼女たちをいわばアイドルとしてそれぞれの都市が複雑な関係を維持していました。

しかしみんな仲良く共存共栄というわけにはいきません。一宮は地方都市を従属させたいと思い、二宮はそれに取って代わりたいと願います。他の都市も従属を願うもの、独立を夢見るもの、共存を選択するもの、そして覇権を狙うもの……それぞれの事情、立場があります。

末席の七宮カセンは地方都市。そこには一人の幼い巫女姫がいました。物語は彼女とその二人の側近が中心となって展開します。
前王の隠し子として側近のトエとテンに擁立された少女、カラスミ。出自は孤児で、隠し子かどうかなど誰にも……本人にもわかりません。しかしトエとタウは自分達の野望の為に彼女を擁立しました。そしてカラスミも彼らと共に「高み」を目指す事にしたのです。

トエは極めて有能な商人であり政治屋。テンは節操のない遊び人で同時に優秀な将軍であり、武人。カラスミは好奇心一杯でとても頭が良いけれど優しく、ちょっとぽやっとした少女。

家族であり親友であり共犯者であり……。外から見ると非道なトエとテンがなにも知らない少女を利用しているだけに見えるかもしれませんが、その面も否定出来ないけれどそれだけではない関係がそこにはあります。

彼らはカセンを足場に四宮ツヅミを陥落させ、三宮ナツメと戦いそして同盟し、次第に力をつけていきます。謀略と流血、欲望と野望、そして友情が絡み合い、複雑な世界を少しずつ登っていく三人の物語。

非常に込み入った話でしかもそれなりに陰惨な世界なのですが、カラの優しさとぼんやりさ、そして年に似合わない聡明さが語る物語は不思議と透明で気持ちの良いものです。

この作者は言葉も綺麗ですね。美しい単語をうまく使い、また季節や情景描写を多用する事によって爽やかな世界観を紡ぎ出しています。刊行ペースがかなり遅いのが問題と言えば問題ですが、その分奥深く読み応えのある話になっていると思います。

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