ミドリノツキを読み直す

岩本隆雄さんの『ミドリノツキ』を読み直してました。

新潮文庫版「星虫」から読んでいる作家さんで、一時期文筆から遠ざかっておられたようですが、2000年頃に「星虫」「イーシャの舟」をリライトされ、また新作も何冊か出された人です。

がっちりSFの作品ですが、地球環境問題に大きな危機感を表明しているあたりが特色でしょうか。最近のなんでもエコロジーに結びつけ、場合によっては科学拒否につながるような風潮には嫌気がさしているまたはちさんですが、この人の作品はそういう狂信的あるいは非科学的なエコロジー大好きとは違い、科学や技術の進歩は当然として、その上で地球環境の保護や発展はどうあるべきかというスタンスで書かれています。

同時にちゃんとラブストーリーも入っているあたりが少しライトノベル寄り。アイディアと科学知識だけで構成されたがっちがちのSFは読みたくないという人にもお勧めできます。科学知識を前提とした現代ファンタジーという趣ですね。