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父親たちの星条旗

観ました。

まずPS3の映像は見事。アプコンを有効にして観たところ、本当に美しい映像が得られました。なお音声は光接続で5.1chサラウンドシステムに通しています。

物語もよかったです。物量・兵力ともに圧倒的だった米軍ですが、硫黄島では過去最悪とも言える損害を受けています。その恐ろしさがよく描写されていました。日本軍は兵力も装備も劣勢で食料も水も不足し、全滅まで時間を稼ぐくらいしかできる事はなかったのですが、栗林中将以下の将兵は文字通り最後の一兵まで戦ったのです。

凄まじい損害を受けながら内陸へ進軍するシーンと、「英雄」として国債調達キャンペーンに利用される現在が入れ替わり、その理不尽さが胸に迫ります。
有名になった硫黄島の旗の写真は実は最初のものではなく、映画でも言われていたように二度目のもののようです。さらに言えばこの後、日本軍は反撃して星条旗を引きずり下ろしました。米軍はさらに反撃します。結局この日からも戦闘は一ヶ月以上続きました。現場の兵にとってみればこの写真は序盤のちょっとしたイベントでしかなく、地獄はまだこれからだったのです。

さらに米軍が発表した硫黄島の六人のうち一人は人違いでした。それを指摘し、こんな写真で国民の人気取りをして金を集めるなど茶番だ、と主張するアイラは国債調達担当の上官から叱責されます。

「金がないんだ。勝利の戦時国債キャンペーン?『もう弾を買う金もないから恵んでくださいキャンペーン』とでも言いたいよ。ドルは紙くず同然だ。純金でないと石油も売ってもらえない。この写真はひどい写真だが、国民に勝てるという気分を与えてくれる。間違いを発表すればすべて台無しだ。それなのに君は写真に写っているのが誰かというほうが大事だというのかね?ああ好きにしろ。ただし戦場に戻るときには飛行機に乗る前に石を拾って行けよ。弾はないからな。ああ、もちろんガスがなくて飛行機が飛ばなくても驚くな」

対ドイツ戦に負担を強いられていたアメリカ軍には対日戦に振り分けることの出来るリソースは極めて限られていたのです。日本は極東最強、そして世界でも有数の海軍大国であり、アメリカ海軍は一時期空母が一隻もなくなるほどに追い詰められていました。さらにドイツは間違いなく世界最強の軍事国家であり、物量で押していたとは言えその技術力と鍛え上げられた精鋭の前にアメリカとて楽な戦いは出来ていなかったのです。

その苦境を知り、英雄に祭り上げられた彼らはその状況を茶番と知りつつ協力せざるを得ません。しかしそのギャップは彼らの精神と肉体を追い詰めていくのでした。

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